合唱伴奏法

【練習番号H(I)編】2020年Nコン中学生の部課題曲「足跡」ピアノ伴奏完全解説

こんにちは、牛武です。
2020年のNHKコンクールの課題曲「足跡」のピアノ伴奏、練習番号H、Iを解説していきます。(混声3部合唱編曲を使用して解説しています)

このブログでは、25年近くピアノや室内楽、伴奏を学んできたピアニストの僕がピアノ演奏のノウハウをお伝えします。

「どのように譜読みしたらいいかわからない・・・。」
「多少弾けるようになったけど、もっとよくするにはどうすればいいんだろう・・・」
という方は是非参考にしてみてください!

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今回は、2回目のサビのテンションを受け継いで、さらに盛り上がった後、アカペラの繊細な表現に変わる劇的なパートです。しっかりと音楽作りを取り組んでいきたいですね!

それでは早速解説していきます!

ポイントはこれだけ!

①楽語の確認
②練習番号Hのクレシェンドと16分音符の指使い
③伴奏が復活する瞬間とテンポの変化
④練習番号Jに向けた転調

①楽語の確認まずは楽語から確認しましょう。

練習番号Hの出だしの男声パートに、「energico e marc.」というあまり見慣れない楽語がありますね。しっかり確認しておきましょう。

energico力強く
eそして
marc.(marcatoの省略形)はっきりと

これはピアノパートへの指示ではありませんが、音楽作りのヒントになります。

男声パートはこの指示により、リズムをはっきりと打ち出し、ハキハキと子音を立てながら勢い良く歌うだろうということが想像できます。
その音楽に応えるような伴奏を探しましょう。

こういった他のパートに対する指示も普段から確認するようにしましょう。

次に、練習番号Iでは「Un poco meno mosso」とあります。

Un pocoやや、少し
meno mosso今までより遅く

ピアノはお休みなので直接関係ありませんが、ここでもテンポが変わることは把握しておきましょう。

伴奏が復活し「accel.」をした後、69小節では「Con energia」という指示があります。

accel.(accelerandoの省略形)だんだん速く
Con energia~と共に+力強さ、活力、元気

「Con energia」は音楽の雰囲気のための指示であり、テンポを速めてくださいという意味は含まれておりません。
エネルギーが増したので、結果的にテンポが少し上がったという解釈が良いでしょう。

②練習番号Hのクレシェンドと16分音符の指使い

まずはクレッシェンドについて解説します。

練習番号Hでは「energico e marc.」(力強くはっきりと)であることを先ほど確認しましたね。
この「energico e marc.」のエネルギーの目的地は64小節の「ff」です。
目的地後は合唱のアカペラパートへと突入するので、この急激な音量の落差が音楽的な見せ場になります。

ピアノ伴奏の役割は「meno f」で緊張感をキープしながら、
クレシェンドで大きな盛り上がりを作ってあげることです。

その為には、クレシェンドを効果的に効かせる手段を考えなくてはなりません。
手段はいくつかありますが、ここではクレッシェンドをあえて柔らかい音色から始めるのが良いと思います。

例えば、クレシェンドの前まではノンレガートな雰囲気で弾き、61小節で若干柔らかな音色にすることでクレシェンドができる余裕を作っておき、そこから一気にペダルを使って響きが迫ってくるようなクレシェンドを作るのはどうでしょうか。
61小節からはピアノパートにはクレシェンドがあり、左手にもテヌートが登場します。一方、合唱にもユニゾンや長いスラーが登場するなど、変化が見られますので、音楽にメリハリをつける絶好のタイミングなのです。

続いて16分音符について解説していきましょう。

62、63小節では、ピアノが16分音符で高音域にいくにつれて合唱の音域が下がっていきます。(画像参照)
合唱がピアノに見せ場を譲ってくれていますので、しっかりとピアニスティックなテクニックを見せて、華やかに弾ききりましょう。
ゆっくり練習やリズム練習などをする前に、指使いを決めてしまうと良いですよ。

僕は16分音符の指を下の表のような指使いで弾いています(譜例・表参照)

62小節3拍目4拍目63小節1拍目2拍目
右手✖✖✖✖✖1235✖✖✖✖123
左手✖✖521✖✖✖✖4321✖✖✖

拍の頭で左右が切り替わらないことがポイントです。
拍の頭で右手左手が変わると、拍に合わせてアクセントが付きやすく、滑らかさと勢いが損なわれがちです。
それぞれの拍の2音目で左右を切り替えるようにすると良いと思います。

切り替わるタイミングも含めて、滑らかに聞こえるようにするために、根気よくゆっくり練習をしてください。

ここもすべての音が黒鍵のため、綱渡りのようですが、手の形をしっかり準備し、指の腹でできるだけ接地面を大きくして弾きましょう。

~そのほかHの弾き方~

Hは練習番号B練習番号Dを参考に弾いてみてください。

59小節の4拍目右手のシンコペーションのタイミングは遅すぎず速すぎず極めてテンポ通りに弾きましょう。
テヌートを意識して弾くと、タイミング通りでも食いつきの良いリズムに聞こえると思います。

同じく59小節の左手4拍目のアクセントは練習番号Bの右手のように鍵盤をつまみあげるようにしながらノンレガートで弾くと良い音が出ます。
指の根元は固めて、鍵盤を指の腹ではじく感じです。

③伴奏が復活する瞬間とテンポの変化

練習番号 I は見ての通り合唱のアカペラになり、伴奏がありません。
その間、本番でキョロキョロすると意外と目立ってしまいます。
手持ち無沙汰ですが、ここで目線をどうするかをイメージトレーニングしておくと良いと思います。

伴奏が復活する瞬間はそれまでのアカペラの雰囲気を壊さず、さりげなく柔らかく弾き始めましょう。

68小節のaccel.は「あのひの」と「ぼくを」の拍頭は合わせやすいですが、そのあとはシンコペーションの間に入れ込むことになります。
ピアノだけ自分勝手にaccel.するわけにはいかないので、言葉を読みながら弾く練習をしておくと良いでしょう。

男声パートをよく聞いて合わせることや、指揮者とのコンタクトをよくとることも有効な手段だと思います。

69小節からは、これまでの♩=84より少し早くなり♩=92になります。
サビの伴奏は練習すれば意外と簡単に速いテンポでも弾けるので、速くなりすぎないように注意が必要です!

合唱は忙しく歌詞を発音しているので、音楽が熱くなっても心は冷静に!
余裕をもって合わせるようにしましょう。

④練習番号Jに向けた転調

72小節目の4拍目の和音は、練習番号 J のハ短調に転調するための大切なきっかけになります。
ロ短調からの調号の切り替えに、初めは体がついていかないと思いますが、何度も味わって体で覚えましょう。

効率よく覚えるには、ここでも指遣いを決めてしまうのが良いでしょう。

指遣いは2種類の選択肢があると思います。

その1【4拍目の和音の指を(123)にする場合】

この指遣いにすると、4拍目から次の小節の1拍目にかけられたスラーを美しく表現できます。

シー(3)ド(4)レ(5)ミ(4)

と弾くことで最小限の動きとなり、とても合理的だと思います。


難しいのは3拍目から4拍目で親指が連続することです。
この親指の連続は、まず親指だけの練習をしましょう。

無駄なく一息で弾けるように最短ルートをゆっくり確認していくことが必要です。
慣れたら親指の連続の2つ目を和音にします。
縦がピッタリ揃うようにしましょう。

その2【4拍目の和音の指を(235)にする場合】

親指の連続がどうしても難しい場合はこちらの指も可能だと思います。

右手3拍目最後のミを親指でとり、次の和音を(235)でとります。
その後すばやくポジションを変え、ドを2でとります。

シー(5)ド(2)レ(3)ミ(4)となります。

シとドの間は指では繋げられないので、ペダルで繋げましょう。

ちなみに僕は、その1【4拍目の和音の指を(123)】の指で弾いています。

どちらの指使いを選択するにしても、大切なのはこれまでの音楽のテンションが落ちないことです。
これまで積み上げてきて、さらに爆発する予定の音楽のテンションが、ここの転調で途絶えないように、テンポは乱さず、むしろ次に向かうようなエネルギーをもって弾きたいですね。

いかがでしたでしょうが?

以上、2020年のNHKコンクールの課題曲「足跡」のピアノ伴奏、練習番号D(G)の解説でした。

少し高度な要求もあったかもしれません。また、文章では伝わり辛いところもあると思います。実演動画もあげますので(近日公開予定)、併せて参考にしてみてくださいね。それでは、また次の解説でお会いしましょう。

牛武奏人

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